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行政は“両親を親として扱えるか”~地方自治体の共同親権

概要

2024年5月成立の改正民法により、離婚後共同親権が日本で導入され(2026年4月に施行予定)、自治体の窓口実務・教育・医療・福祉に横断的な影響が生じます。

理念論から一歩進み、「現場の混乱を防ぎ、子どもの最善の利益を守るための運用」という観点で、自治体が備えるべき要点を大東市で実現してきた政策と合わせ整理しました。


1. 現場で顕在化する「同意」のジレンマ

影響領域

  • 教育・保育

    • 転校・転園
    • 進路選択
    • 行事参加
  • 医療

      • 重大手術
      • 侵襲的治療
      • 予防接種
  • 行政サービス

    • 児童手当
    • マイナンバー代理申請 等

課題
「父母双方の同意」が必要となる範囲が不明確なままでは、窓口混乱や決定遅延により、子どもの利益が直接的に損なわれるおそれがあり、監護権の整理と記録、フローチャート整備が有益。

対応の方向性

  • 日常行為/重要事項の線引きを分野別に明文化
  • 原則・例外・緊急時のデフォルトルールを事前に設定

2. 自治体に求められる高度なリスク管理(DV・虐待対応)

居所情報の秘匿

  • 共同親権下でも、DV被害者保護(住民票閲覧制限等)を最優先→虚偽申請には注意。
  • 親権を理由とした不当な情報要求への遮断ルールを強化

緊急性(急迫の事情)の判断

  • DV・虐待からの避難
  • 学期切替・期限の到来
  • 生命・身体への差し迫った危険

これらを判断フローとしてマニュアル化し、現場判断を支援するのが有益。


3. 先進事例:大東市モデルに学ぶ

考え方の転換

親の権利中心 → 子どもの最善の利益
項目 従来 今後
情報提供 同居親のみ 両親へ原則提供
行事参加 非同居親は部外者 ルールに基づき可否判断
判断軸 親の立場 子の利益・安全

4. 自治体の共同養育支援

  • ADR活用:養育計画作成支援、家裁前段階での調整
  • デジタル支援:双方通知・連絡ツールの導入(国が地方自治体へ示す事務標準パッケージだけでは足りない可能性)
  • 横断組織:教育・福祉・市民課・医療の連携
  • 子の声をどう聞くか:片親疎外、忠誠葛藤等高度な心理的理解と記録が必要

 


5.「共同親権×地方自治体実務」政策実装 行事参加フローチャート

行事参加フローチャート──「誰が来ても迷わない」学校・園現場へ

背景

離婚後、親権が単独であるか共同であるかに関わらず、

  • 授業参観
  • 運動会
  • 卒園・卒業式

といった行事で、学校・園の現場は常に判断を迫られてきました。

「非親権者とされている親が来たらどうするのか」
「トラブルになったら誰が責任を取るのか」

この不安が、親子の自然な関わりを現場判断で遮断してしまう構造を生んでいました。

この問題を「現場の裁量」に押し付けず、フローチャート化することを提案・実現しました。

ポイント

  • 親権の有無ではなく「支援措置・接近禁止の有無」を最初に確認
  • 子ども本人の意思を尊重する分岐
  • 教職員が“個人判断”をしなくて済む構造

これにより、

  • 教職員の心理的負担を軽減
  • 親子関係の継続を制度として担保

という、双方にとっての安全装置が整いました。


6.「共同親権×地方自治体実務」政策実装 保育園入退園届「両親署名」

保育園入退園届「両親署名」導入~書類一枚で意識を変える

背景
保育園の入園・退園・転園は、

  • 生活拠点
  • 送迎
  • 養育実態

に直結する重要な行政手続きです。

しかし現実には、片方の親の署名だけで進んでしまうケースが多く、

  • もう一方の親が事後的に知らされる
  • 突然会えなくなる

といったトラブルが頻発していました。

「親権の形式以前に、行政が“両親を親として扱っているか”が問われる」

として、入退園関連書類への両親署名原則を提案。

効果

  • 行政が一方の親の“代理人”にならない
  • 虚偽・一方的申請の抑止
  • 親同士が最低限の情報共有をせざるを得ない構造

これは共同親権時代における、極めて実務的で象徴的な一歩だと思います。


7.「共同親権×地方自治体実務」政策実装 DV支援措置法の虚偽申請防止

DV支援措置「仮止め」チェックの署名と虚偽申請防止

背景

DV支援措置は、本来守るべき命を守るための制度です。

一方で、

  • 事実確認が不十分なまま
  • 片方の申告のみで

親子の連絡が全面的に遮断されてしまうケースがあることも指摘されています。

「虚偽申請による“制度の濫用”が、真の被害者を苦しめる」

という視点から、次の仕組みを提案しました。

  • 仮止め段階でのチェックリスト化
  • 申請内容の確認に関する署名・説明責任の明確化
  • 継続判断時の再確認プロセス

これにより、

  • 支援措置の信頼性向上
  • 虚偽申請の抑止
  • 子どもを不必要に引き離さない

という、制度本来の目的に近づく運用が可能になります。


8.「共同親権×地方自治体実務政策実装 学校ガイドライン

行事参加、書類、支援措置、防災、医療同意──
これらを横断的に整理したガイドライン案を示すことで、

  • 職員が迷わない
  • 自治体間の格差を減らす
  • 子どもの最善の利益を標準化する

という効果を狙っています。


9.おわりに──共同親権は「法律」ではなく「運用」で決まる

共同親権が導入されても、

  • 現場が怖がれば
  • 書類が変わらなければ
  • 判断基準が示されなければ

子どもの日常は何も変わりません。

結論

⚠️地方自治体からみる共同親権は理念論ではなく、「行政の停滞によって子どもの日常が損なわれない仕組み」が必要な段階にきています。
自治体の裁量を尊重しつつ、子どもの日常と安全を守る行政運営の指針となることを目指すべきだと考えます。

 

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