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共同親権の運用は自治事務

― 地方議員と自治体職員が一緒に制度を完成させるために ―

共同親権は、国が法律を作れば自動的に機能する制度ではありません。
実際に子どもと向き合い、判断し、説明責任を負い運用するのは地方自治体の現場です。

親権=法的概念は国、運用=地方自治体という構図。国と地方自治体は対等な関係で地方自治の観点から、共同親権の運用を決める自治事務に対して国は指導もできず、ガイドラインも作れないと思います。
共同親権は法的受託事務ではなく、地方自治体裁量の自治事務。

学校行事参加、保育園入退園、福祉、医療、防災時の対応。
すべて自治事務・自治裁量です。

はじめに|法律ができても、現場は動けない

学校、保育園、福祉、医療、防災。共同親権が関わる場面はすべて自治体実務です。
しかし多くの現場では「判断基準がない」「前例がない」という理由で、
職員が立ち止まらざるを得ない状況が生まれています。

1.共同親権は自治体実務で具体化される

  • 学校・保育園:連絡先、面談、行事参加の扱い
  • 医療:同意権者の整理、緊急時の判断
  • 福祉:相談窓口、DV懸念時の一次対応
  • 防災:避難時に非同居親が迎えに来た場合の判断

これらはすべて、自治体が運用として決めなければならない領域です。
運用が定まっていないと、現場職員は判断できず、結果として子どもも職員も守れません。

2.自治事務だからこそ必要な役割分担

地方議員は制度を設計し、自治体職員はそれを日常業務として安全に運用する。
共同親権の運用は、この役割分担がはっきりして初めて機能します。

地方議員の役割

  • 一般質問で論点と判断基準を固定する
  • ガイドライン・フローチャート作成を後押しする

自治体職員の役割

  • 定められた基準を現場で公平に運用する
  • 個人責任ではなく組織判断として説明する

3.現場を止めてしまう3つの誤解

誤解① DVがあるから判断できない
→ 判断基準がないことが最大のリスク。

誤解② 国の通知がないと動けない
→ 通知は最低基準。自治体運用は上乗せ設計が前提。

誤解③ 決めると現場が疲弊する
→ 決まっていないから現場が疲弊する。

4.子どもと職員を守るための実務アクション

  1. 一般質問で「誰が・何を基準に・どこまで判断するか」を明文化
  2. 災害時・緊急時を含む判断フローチャートの整備
  3. 先進自治体の事例を地域仕様に落とし込む
  4. 職員研修と部門横断の共有

制度は、一緒に作れる

共同親権の理念は、誰かを責めることではありません。

大切なのは、共同親権の本質は、親同士の平等ではありません。
子どもにとって必要な大人が、制度や個人によって消されないこと。

その理念を、現場で使える制度に変えるということが、実質的な共同親権とすることにつながります。
恐らく自治事務であることを伝えても役所はすぐに動かないとは思うのですが粘り強く、子どものための民法改正であったこと、
子どもの意見を聞かなければならないという理念が伝わると少しずつ理解が広がっていくと思います。

 

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