Ⅰ.PTAガイドライン問題の全体像|一般質問が描いた制度構造
令和7年3月、6月、12月にPTAの一般質問を行ってきました。PTAは法的に「任意団体」でありながら、実態として学校組織に深く依存しています。
P法的根拠やデータをもとにPTAを適正化、活性化するためにPTA活動ガイドラインの策定を要望しており、昨年末に市教育委員会がガイドラインを策定し、実現しました。
義務教育は無償に反した保護者への有償負担・任意団体の任意性・行政会計との線引き・個人情報の取り扱い・教職員の労務管理
という複数の制度が交差する構造をPTA問題の課題として捉え、段階的にその歪みを可視化してきました。
PTA会費につきましても流用であったりだとか、任意団体の任意性であったり、社会問題化されております。憲法26条第2項には、義務教育はこれを無償とする。
また、地方財政法第27条第1項には、住民に対しその負担を転嫁してはならないと書いてあります。
義務教育は無償であり、本来、公費で賄うことを(PTAを通して)間接的に保護者が負担させている状況に問題があると思います。
こういった現状を把握してますか?


PTA会員が賛同する寄附であれば、法令上問題はありませんが、手続やルールをしっかりと講じる必要がございます。今後、こうした課題に対しまして、学校における学校関係団体からの財政支援への対応についてなどを整理し、啓発・周知を図ってまいりたいと考えているところです。
任意団体であるにもかかわらず、入会届もない退会届もない、そして使用する基準もない、入会意思を確認する申込書がないまま、保護者を自動的に会員とするのは、民法676条に定める任意団体の原則から大きく外れているように見えます。


答弁
PTAの加入・脱退に関する法令の直接的な規定はございませんが、平成22年に文部科学省のほうから、PTAは任意加入の団体であるとする旨の事務連絡通知があり、また、令和5年3月の国会審議におきましても、当時の首相が、PTAは任意団体であり、入退会は保護者の自由であるとの御答弁がございました。市教育委員会といたしましても、定期的に周知に努めているところです。
PTA会費、またPTA活動の適正化と活性化、この2点が両立するようなガイドライン、手引書があれば、よりPTAも活発化するのではないかなと思います。


答弁
学校におけるPTAをはじめとする学校関係団体からの財政的支援への対応等につきまして、国の見解でありますとか、日本PTA全国協議会などの方針、それから、他市での状況、周知方法などを調査研究し、基準づくりを進めてまいりたい。
| よくある誤解 | 実際 |
|---|---|
| PTAは義務 | PTAは任意 |
| 入らないと子どもが不利 | そのような扱いは不適切 |
| 役員は必ずやらないといけない | 強制不可 |
| 学校の仕事を手伝う組織 | あくまで保護者の自主活動 |
3つの構造軸
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- 第1の軸:任意団体としてのPTAは成立しているのか
- 第2の軸:PTA会費・寄附による「隠れ教育費」
- 第3の軸:教職員が担うPTA事務の法的位置づけ
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Ⅱ.任意団体としてのPTAは成立しているのか|PTAガイドライン問題①
1.数値が示した現状(令和7年12月議会中村晴樹一般質問)
| 項目 | 内訳 |
|---|---|
| PTA口座名義 | PTA名義13校/学校名義7校 |
| 口座管理 | PTA管理4校/学校職員管理16校 |
| 予算・決算作成 | PTA管理3校/学校職員管理17校 |
任意団体であるはずのPTAが、実態として学校組織が担っている状況が、数字によって明らかになりました。
(PTAの口座なのに)学校名義が以前20校中7校もあるという状況です。
私会計と公会計っていうのは明確に違うわけですから、即座に是正すべきだと思います。


答弁
通帳の名義であるとか、保管であるとかいうものが学校で行われている場合は、PTAの代理人として処理するべきであって、もしそのまま継続して行うのであれば、委任契約等で明確にする必要があるというふうに考えておりまして、ガイドラインの中で委任契約の必要性についてうたうということを予定しているところでございます。
2.法的評価
- 入会届・脱会届が存在しない自動加入
- 会員確認なき会費徴収
これは民法上の任意団体原則(意思表示・契約成立)からの明確な逸脱です。
3.到達点
「任意団体」という建前と、「学校依存」という実態の乖離を、数字と法解釈によって確定させました。
Ⅲ.PTA会費は隠れ教育費か|義務教育無償とPTAガイドライン問題②
1.提示した具体事例
- エアコン修理費のPTA支出
- 指導用オルガン(約26万円)
- コピー用紙等の学校備品相当支出
いずれも本来は公費で賄うべき教育環境整備です。
2.法体系との関係~PTAは「同意なき個人情報取得」ができません。
- 憲法26条2項(義務教育無償)
- 地方財政法4条の5・27条の4
- 個人情報保護法※PTAは個人情報保護法第2条・第16条により個人情報取扱事業者に該当し、第17条・第18条・第27条により、入会意思確認なき名簿取得や、学校からの目的外提供は許されない。
項目 学校・教育委員会 PTA 法的性質 行政機関 任意団体 適用法 個人情報保護法(行政機関等編) 個人情報保護法(一般編) 情報取得根拠 法令・職務 本人同意・契約 強制力 あり なし
3.制度的に封じる必要がある
行政は「自発的寄附は可能」という見解でそれ自体は正しいのですが、「議事録・総意・証憑なき寄附は適正ではなく、自発性を欠いた状態と考えています。
「自発的寄附」という説明で問題を回避する余地を制度的に封じていく必要性を感じています。
Ⅳ.教職員はなぜPTA事務を担うのか|PTAガイドライン問題③
- PTA未加入教職員が事務を担当
- 職務専念義務免除:実施事例なし
校務外とされながら継続される処理は、法的根拠なき無償労働です。
PTA事務はそもそも校務なのでしょうか。


社会教育関係団体の活動でございますので、校務という位置づけではないという解釈をしております。
法解釈を見ますと、教育公務員特例法の規定により、教育委員会の承認が必要であり、当該事務を職務専念義務免除とする事務規程などの整備は、大東市は今現状ある状況でしょうか。


そのような対応は取っておりませんが、あくまでPTAの活動については、学校校務外で行うというのが原則であるという認識を持っております。
校務外でボランティアで押しつけられるからこそ、(導入届を導入しPTAに入った教員が1名のみの)諸福小学校は教員1名のみという現状もある。こうした法の規定、またその職務専念義務を免除させてあげたらいいと思います。

Ⅴ.寄附金データが示した決定的事実|PTAガイドライン問題④
寄附件数:78件
寄附総額:約1,200万円
年間平均:約240万円
適正な寄付手続きを経た数字と思われますが、少なすぎるため、適正な寄付手続きを経ていない数字を可視化する必要があると考えており、市全体の構造問題であることを示しています。
Ⅵ.総合評価|PTAガイドライン問題が示した制度的限界
- 感情論に依らない
- 数字・法令・具体事例による制度批判
- 存続か解散かではなく適正化による再設計
- 法の下によるPTAの活性化
Ⅶ.結論

📌 PTAは法的に任意団体であり、自動加入は成立しない
⚖️ PTA会費による教育費負担は、義務教育無償の原則と対立する
❗ 個人情報は、本人の同意なしに学校からPTAへ提供することはできない
🚫 教職員が担っているPTA事務には、明確な法的根拠が存在しない
大東市が作ったPTAガイドラインはまだまだ粗削りで改善余地が沢山あります。
これらはPTA・学校・教職員・保護者のすべてを守るための制度の出発点であり、義務感のある活動ではなく、法の下に戻し、強制から協力へ入りたくなるような団体を目指すところを応援するような取り組みを進めていきたいと考えています。












