ごみ持ち去り条例改正
法的な問題点を指摘
大東市議会議員 中村はるき
① 指導・勧告を経ず、いきなり「命令」へ進む制度設計
今回の条例改正では、資源ごみや粗大ごみの持ち去りに対して、市長が「命令」を行い、その命令に違反した場合には20万円以下の罰金を科すことができる内容となっています。
しかし、命令に至るまでの過程について、市は「口頭注意を繰り返す」と答弁したものの、条例には他市で見られるような「指導」「勧告」といった段階的な手続が規定されていません。
何回注意したら命令なのか。
どのような証拠で命令するのか。
誰が、どの基準で判断するのか。
行政指導そのものは条例に明文がなくても可能です。 しかし問題は、 どの段階で最も重い行政処分である「命令」に移行するのかが不明確であること です。
市民の立場から見れば、手続や基準が見えなければ、恣意的な運用への不安が残ります。
② 罰金20万円を設けても実効性はあるのか
今回の条例には、命令違反に対する20万円以下の罰金と両罰規定が設けられています。
しかし全国的には、同様の持ち去り事案について警察が積極的に立件するケースは多くなく、実際には注意や指導に留まる例も少なくありません。
実際には罰則の適用事例が少なく、抑止効果に限界があるとの指摘もあります。
だからこそ私は、 罰則だけではなく、より実効性のある制度設計を議論すべきではないか と指摘しました。
③ 罰則だけではなく公表制度も検討すべき
直近の他自治体の改正事例では、違反者に対して氏名・住所・車両ナンバー等の公表制度を設けている例も見られます。
何度も命令を受けても従わない悪質な違反者に対しては、警察任せ、罰則任せにするだけではなく、 行政として実効性のある対応を整える必要があります。
私は、 命令違反者の公表制度を組み合わせることで、罰則だけに頼らない抑止策も検討すべき と提案しました。
私が問題にしたのは「刑事手続」ではなく「行政処分」です
市は答弁で、 「現行犯であり、警察へ通報する」と説明しました。
しかし、私が繰り返し指摘したのは刑事事件としての対応ではありません。
問題は、市民に対して発する「命令」という行政処分のあり方です。
- どのような場合に命令するのか
- どのような証拠で判断するのか
- 弁明の機会はあるのか
- 恣意的運用を防ぐ仕組みはあるのか
こうした適正手続、いわゆるデュープロセスの観点が欠かせません。
結論:持ち去り対策には賛成。適正手続を欠く条例には反対。
私は、ごみの持ち去り対策そのものに反対しているわけではありません。 むしろ悪質な持ち去り行為には厳しく対応すべきだと考えています。
しかし、行政が市民に命令を出し、罰則につながる制度をつくる以上、明確な基準と段階的な手続が必要です。
今回の条例改正は、その制度設計が不十分であり、恣意的運用を防ぐ仕組みも弱いと判断したため、私は委員会で反対しました。
私は今回の条例の目的そのものには賛成です。 しかし、 「何を規制するか」だけでなく、「どのような手続で規制するか」も法治行政において極めて重要です。
今後も、市民の権利を守りながら、実効性のある行政運営を求めて行政と議論してまいります。












